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給食作りは子どもの「命・人生・夢」を預かる仕事

情熱の栄養士・松丸奨さんが語る、東京都文京区立青柳小学校の給食とは?

 この熱意はどこから生まれるのか。

 「僕自身、野菜嫌いで体が小さく、病弱な子どもでした。それが小学校の栄養士さんの『食べ物が体をつくるのよ』という一言がきっかけで野菜嫌いを克服でき、それを境に給食が大好きになりました。あのとき初めて、僕は食べ物の力に気付いたのです。給食は子どもたちの命を預かるだけでなく、夢をかなえる体づくりを支えるという意味でも、その後の人生も預かる大事な仕事だと感じています」

子ども達の「舌体験」を充実させるため、「だし」にとりわけ注力する

 松丸さんが何より重視するのは味つけ。「残さず食べたくなる」ことで食べ残しや偏食を減らしたいという思いからだ。とりわけ、だしに注力するのは、塩分を控えられる効能もさることながら、子どもたちにひとつでも多くの「舌体験」をさせたいからだと話す。

 おいしいだしの黄金比率を追求するため、有名料亭やラーメン店に通い、店裏に積まれたダンボールからその店が使っている素材の原産地と材料をメモに控えたことも一度や二度ではないという。

 松丸さんの澄まし汁を試飲した。澄んでいて、コクがあり、優しい味だった。松丸さんのだしへの思い入れは、煮びたしや澄まし汁の味を「おいしい」と認識する体験そのものが、その後の食生活を決定づけるとの信念から成っている。とりわけナスや豆を苦手とする子どもは少なくない。しかし、野菜や鶏のうまみをふんだんに含ませた煮びたしにしたり、ナスは素揚げにしてから調理したりすることで、喜んで食べられるようになる子が多いそうだ。好き嫌いをなくす工夫は、松丸さんの献立作りの柱にもなっている。

 その他にも、季節感を感じられる旬の食材を使う、冷凍食品・出来合いのものは使わずすべて手作りする、化学調味料は使わない、などの細かい方針がある。また自ら江戸野菜農家に足を運ぶなど、「東京食材」の開拓にも力を入れている。

 松丸さんは楽しそうだ。この熱意に周りが巻き込まれていく。
 そんな松丸さんに多忙なママ&パパに向けてアドバイスをもらった。

 「時間をかけなくてもおいしい料理は作れます。例えば、土日にだしを作って冷蔵庫に保存しておけば、平日の忙しいときでも簡単においしいお味噌汁が作れます。がんばり過ぎないことも大事ですから、家では、食事の片付けを子どもの役割にしてみたりしてはどうでしょう? でも、やっぱり『ここぞ』という部分では怠けないことです(笑)」

 次回は「日本一おいしい給食を目指している」という東京・足立区教育委員会の「おいしい給食担当」を紹介する。

(ライター/砂塚美穂)

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