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ヤマザキマリ「信頼しない」を前提に作るいい関係

イタリア人に学んだ、自分で自分の面倒を見る責任

 日本、イタリア、シリア、ポルトガル、アメリカ…と、世界を股にかけて作品を生み出し、家族の時間を紡いできた、人気マンガ家・ヤマザキマリさん。前編では、未婚での出産&子育ての道を選んだ背景や、シングルマザーとして数々の仕事に就いたエピソード、働く母親から学んだ子育ての極意を聞きました。(前編「ヤマザキマリ 波瀾万丈イタリア出産→分娩台離婚」

 後編では、日本と海外との比較文化の視点に立ち、国際結婚を経ての様々な国での子育て、イタリア人に学んだブレない子どもの育て方、夫に執着しすぎるイタリア人の姑との関係づくりなどを語ってもらいます。

――文学研究者であるイタリア人男性との子連れ結婚を機に、息子・デルスくんが小学3年生のときから再び海外生活へ。ご主人の仕事の都合に合わせて家族で世界のいろんな場所へ異動されています。環境の大きな変化に、デルスくんの順応はスムーズでしたか?

 うちの子の、「海外連れまわされ苦労」は尋常じゃないと思いますよ。10歳にも満たない子が親に引っ張られて、いきなり中東(シリア)での生活ですからねぇ。しかも、外国人の子ども向けのインターナショナル・スクールではなく、必ず現地校に放り込んでいました。その土地の人のありのままの生活を分かってほしかったのが一番の理由です。そして、インターナショナル・スクールは裕福な家庭の子がほとんどだけれど、経済的な格差、家庭環境の違いなど、様々な環境に置かれた子どもたちの中で一緒に学んでほしかったんですよね。世界というのは本質的に異質なものが混同しているのが社会ですから、それを肌身で教わることは基本だと思って。

 ただその分、教師もうちの子が現地の言語を話せないからと特別扱いすることはありません。言葉もさっぱり分からない状態で、シリアではクラスメイトと一緒にアッラーへの祈りをしたり、ポルトガルではヴァスコ・ダ・ガマや大航海時代を暗記していたり…。

 ポルトガルに移った小学校高学年のときが、息子は一番しんどかったんじゃないかな。ポルトガル語ってすごく難しくて、うまく周囲とコミュニケーションが取れない。私自身も分からないから教えることができなくて。とはいえ、私が戸惑いを見せるわけにはいかないので、「わけが分からないよ、ママ…」と不安がる息子の背中を叩いて、「分からないから面白いのよ! ゼロから開拓していくのよ!何とかなるって!」と、無茶苦茶なアドバイスをしていました(笑)。そして自分でも毎日外へ出て、息子の見ている前でポルトガル人と接して間違っててもどんどんポルトガル語で話す様にしていました。もともと大好きな言語ではあったので、「いやー難しいけど、情緒があって素晴らしい言語だこりゃ…」とか呟きながら。

ポルトガルへ転校早々、息子が同級生に蹴りを入れられ…

 でもまぁ、親が心配しなくても、子どもは置かれた環境でちゃんとやっていく。私は14歳のとき、母親が行けなくなった代わりに1人で約1カ月間ヨーロッパ旅行をしたんです。アジアを旅したときには、フィリピンのストリートチルドレンたちが過酷な環境でたくましく生きているのも体感しました。そんな自分の経験を踏まえて、放ったらかされた子どもが自力でなんとかできると分かっているので、下手に甘やかせることはしなかったです。母の立場としては心配で気が気じゃないですが、「あなたの責任でやりなさい」と、思い切って子どもに任せる経験も大事だと思うんですよね。誰よりも頼りがいのある自分をそこで形成している絶好のチャンスでもあると思うから。

――ポルトガルでは、デルス君がいじめに遭いかけたとか?

 陰湿なものではなくてね、『ドラえもん』の“ジャイアン”みたいなガキ大将がいたんですよ。そこにうちの息子が“のび太”として入った。リスボンの現地校に初登校した日、言葉が通じない息子は息子なりに、その中でアピールできることを探したわけですよ。得意なおりがみを折って、動物やらスペースシャトルやらを作った。そうしたらクラスの女の子たちが、物珍しさから集まってきたそうで。ポルトガル語もしゃべれない奴が輪の中心にいることがジャイアンには気に入らなかったらしく、帰りに待ち伏せされて殴られ蹴られ、お腹を押さえて泣きながら帰ってきました。

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