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広告業界で新たな道を切り開く3児の母

夜間保育と夫婦のチームワークで走り続けた15年間

編集者の紹介で初めてお会いした笠原千昌さん。広告制作プロダクションのサン・アドでクリエイティブ・ディレクターかつコピーライターとして活躍しています。TCC新人賞やACC賞、朝日広告賞などを受賞し、社内では女性で初めて部長職に就いたという経歴の持ち主です。

「26時(夜中の2時を指す)」という時間の表現が当たり前にあり、徹夜も日常茶飯事という業界で、笠原さんは15年以上も仕事と育児を両立しています。“働くママ”と一括りにはできないほど、仕事と育児の両立方法は千差万別。どんなに大変な苦労も「何とかなる」と笑い飛ばす豪快さ。元気の出るインタビューとなりました。


インタビューを動画でご覧いただけます(約3分)

夜中の打ち合わせも当たり前の広告業界で、会社の育休復帰第1号に

藤村 広告業界は不規則で大変な職場だと思います。笠原さんは社内で第1号のママ社員だと聞きましたが、産後何カ月で職場復帰したのですか?

笠原さん(以下、敬称略) 長男が生後7カ月のときでした。当時、うちの会社には子どもを産んで、育休を取得して、職場復帰を果たしたという社員が一人もいなかったので、私が第1号です。今から遡ること15年前の話ですから、今のような社内の支援制度や働く環境はまだまだ整っていませんでした。世間の雰囲気も、今とは随分違いましたね。広告業界は男性社会だったので、世間の雰囲気よりもさらに遅れている感じでした。

―― 復帰後はどのような働き方を?

笠原 仕事に復帰するときに、会社としても時短勤務制度を用意しなくては……ということで、総務部には「夕方4時に帰っていい」という決まりを作ってもらえました。でも、そうはいっても、周りの社員も取引先も、実のところどう対応すればいいかが分からなかったと思うんですね。「夕方4時に帰る」といっても、そんな社員は他にいません。むしろ夕方4時に出社してくる人がいるような業界ですから、いくら子どもを育てているからといってもそんな働き方は実現しにくかったんです。

 一応、上司に「夕方4時には帰っていいということらしいです」と伝えましたが、復帰当時に担当したのは金融系のクライアント。メディアに載せる広告の内容に、為替レートが深く関係してきます。つまり、レートが動く深夜から朝方までコピーライターが稼働していなければならない。その結果、朝4時から5時ごろまで仕事をしなくてはならないわけです。夕方4時って言っていたのに、朝4時だな、なんて思いながら働いていました(笑)。

 でも、子どもの保育園の用意もありますからね。朝5時には「子どもを保育園に送らないといけないので帰ります」と言って、タクシー飛ばして帰っていました。


サン・アドのクリエイティブ・ディレクター、笠原千昌さん

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