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大災害の避難所で、大人がすべき一番大事なこと

被災時の子どもを守る(下) 緊急支援を必要としている子どもを、支援できる専門スタッフに「つなぐ」こと

東日本大震災が起きてから、丸4年が経とうとしています。もし今、大災害が起こったらどうすればいいのでしょうか。自分の身を守るだけではなく、わが子や地域の子ども達をどう守ってあげるかは、親である私達世代の責任でもあります。災害や事故、事件の現場での子ども達のショックや精神的なダメージは計り知れません。でも、ボランティアとして、また一人の大人として、現場で子ども達にアプローチをするには、適切な方法があるのです。

その中の一つに、国連に公式承認された子ども支援専門の民間の国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」が、世界の緊急・人道支援活動に用いられる心理的社会的ケア「PFA」(Psychological First Aid=心理的応急処置)を基盤に作り上げた「Psychological First Aid for Children(子どものためのPFA)」というものがあります。前回記事「災害時、子どもが受ける想像以上の精神的ダメージ」に引き続き、この要点を学び、交通事故や火災などの緊急時に、ストレスを抱えた子ども達への対応に役立てる目的で行われた研修(ダイジェスト版)の模様をリポートします。

避難所での6歳の女の子とのコミュニケーションをロールプレイで学ぶ

 今回、PFAを学ぶセミナー参加者は、以下の場面設定でのロールプレイに取り組みました。

あなたは避難所で、隅のほうで泣いている女の子に気が付きます。周囲に保護者や大人はいないようです。女の子は6歳ぐらい。おびえた様子で「私が夕食のニンジンを食べなかったから、お母さんがいなくなっちゃったの」と言って泣いています。


2人1組でペアになり、女の子と支援者の役を分担してロールプレイ

 さて、2人1組でペアになり、それぞれ女の子と支援者の役を分担します。支援者は3つの行動原則(見る、聴く、つなぐ)を意識して、女の子の状況を把握し、次の行動に移していかなければなりません。

 ここで「ニンジンを食べないことと、お母さんがいなくなったことは関係ないよ」と即座に諭してしまうのはあまり好ましい対応ではありません。4~6歳くらいまでの子どもは、前回説明したように「自分が何かをした結果、こんなことが起きてしまった」という、大人にとっては理解できない原因と結果を結び付けてしまう「マジカルシンキング(魔術的思考)」を持っていることがあるからです。

 その特性を踏まえ、最初に自己紹介をしてから、「ニンジンが嫌いなんだね。私も子どものころは苦手だったなあ」「そうか、6歳なんだね」と、会話のきっかけを作っていきます。


パペットを使い「トライアンギュレーション」を練習

 次は、顔が描かれたかわいいパペットを使って、再度、ロールプレイを行うことに挑戦です。パペットのように、何か第三者の力を借りながらコミュニケーションをする「トライアンギュレーション」という手法は、特に年齢の低い子ども達とのコミュニケーションに有効です。

 「こんにちは! 僕はパペットくんです。あなたのお名前はなあに?」「6歳なんだね。ここで一人で何してるの?」というように、パペットと子どもが会話するようにしていくことで、前よりずいぶんやりやすくなりました。間にパペットを挟むことで、子どもも話しやすくなるといいます。

 支援者として知らなくてはいけないのは、その子が保護者から離れてどのくらい長くその場所にいるのか、食事を取っているのかいないのか、といった基本的ニーズに関する情報です。

 パペットを使うのは小学生くらいまでですが、トライアンギュレーションという手法は中高生にも使えます。例えば、有名なスポーツ選手や芸能人の話を出しながら、その話題を通してコミュニケーションを図り、その子どものニーズを探ります。

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