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管理職に登用されて失敗する確率は男性も女性も同じ

大和証券(下)/会社側が全社員のことをしっかり見て、特性を判断し、管理職候補にはチャレンジしてもらう

先日、ワーク・ライフバランス社が主催する経営者限定勉強会が行われ、女性の役員や管理職を多数登用し、19時に帰る仕組みなどを続けている大和証券の取り組みについて、大和証券グループ本社取締役会長である鈴木茂晴さんのお話をお伝えしました。前回の記事「女性役員7人、管理職200人超 制度は運用が肝心」「社員が19時に帰るのは、できないことではない」に続いて、ワークライフバランス社代表取締役社長の小室淑恵さんと、会場の参加者による質疑応答のダイジェストをお送りします。

女性の活躍度を数字で見える化し、社員に会社の本気度を伝える

 ここからは、セミナー参加者との質疑応答の様子を紹介します。この参加者はすべて有名企業の経営者です。経営者の皆さんが、ワーク・ライフバランスについて本気のディスカッションを繰り広げました。

【セミナーに参加した経営者から寄せられた質問】

Q) ワーク・ライフバランスの実践は会社側の本気度にかかっているとおっしゃいましたが、本気度というのは社員にすぐには伝わらないものだと思います。貴社における本気度の伝わり方を教えてください。


大和証券グループ本社取締役会長・鈴木茂晴さん

鈴木茂晴会長(以下、鈴木) おっしゃる通り、最初のうちは昔のイメージがあり、社員にもなかなかこちらの本気度を信じてもらえませんでした。でも、少しずつ女性社員の昇格を目の当たりにしていくと、「成果を出せば女性でもきちんと昇格できるんだ」と納得して一段と頑張るようになる。その結果、さらに女性の昇格者が増えていきます。

 私が社長になってから始めたことの一つが、女性の昇格者を数字で見える化することです。「競争をあおるからよくない」と部下からは言われましたが、本来ビジネスには競争があってしかるべきです。自分の名前や数字が出るとどんどん頑張るものです。さらに上に行こうと思って頑張るようになり、それが功を奏しました。

退社時刻を19時と決めると、それに間に合うように働き出すもの

Q) 19時に帰るのは本当に難しいことだと思います。どのように浸透させていったのでしょうか?

鈴木 はい、最初はみんな口々に「19時に帰るなんて絶対無理」と言っていました。確かに、私の若かりしころを振り返ったら、出社は朝7時で、退社は23時。0時まで会社にいることも少なくなかった。ずっと本気で仕事をしていると体が持たないので、昼に長い休憩をして、18時半くらいから「また頑張るか~」と気合いを入れ直していたわけです(笑)。

 ところが「退社時刻は19時」と決められたら、休憩なんてしていられません。時間がないのでサボる人もいなくなります。仕事を終える時間を決めてしまえば、みんなそれに合わせた働き方をするようになるのです。

小室淑恵さん(以下、小室) おっしゃる通り「デッドラインを決めると生産性が上がる」というのはコンサル先でも実感していることです。なぜなら、デッドラインがなければ優先順位はつけられないからです。優先順位を考えない働き方が習慣化してしまっていることが、多くの企業で生産性を下げる要因になっています。

エリア総合職に移ったばかりの女性社員の仕事内容は、最初は変えなかった

小室 私からも一つ質問です。「女性に対して役職などへの登用を働きかけても、女性社員に断られてしまう」というお悩みを経営者の方からよく聞きます。貴社でもそのような事例がありましたか? またその場合、どのように乗り越えてきたのかを教えてください。

鈴木 事務職の人を総合職に移そうとしたときに、こんな手紙が届いたことがありました。「私は事務が好きなので、エリア総合職には移りたくありません」と。しかし、事務職の仕事が無くなったら、その社員にも辞めてもらわなければならなくなる。エリア総合職と聞いて、「未経験の営業職に回される」「自分に営業は向いていない」と心配する人も多かったので、最初のうちはエリア総合職に移っても、その社員の仕事内容は変えませんでした。そして、徐々に、お客様からの電話を受けてもらったり、店頭に出て対応したりしてもらうようにしていきました。

 給料やボーナス、昇給額は仕事内容の変化に伴って変わります。組合からの要求により、総合職の給料ラインも開示しているので、「自分もこれくらいもらえるかも」という意識が段々と湧いてくるようになったようです。最初はなかなか動いてもらえませんでしたが、動き出すと早いという実感がありました。

小室 なるほど、確かに女性はそれまで自分が経験を積んできた領域や、隅から隅まで自分が分かる領域に関しては愛情を抱くと言われますね。実は弊社の社員にも「コンサルタントになりたくない」と言い続けた女性がいました。コンサルティング会社に入社しているのにもかかわらず、です。

 彼女は今や、一番上のクラスであるパートナーコンサルタントで、弊社の稼ぎ頭になっているのですが、5~6年前は「私はコンサルタントには向いていない」と訴えられました。今まで通り、経理の仕事を続けたいと言われましたが、「あなたならできると思うよ」「なぜなら、あなたにはこういう能力や素質があるからね」と具体的なメッセージを伝え続けました。

 こういう社員には、普段から資質を観察してフィードバックし続ける必要があります。そして鈴木会長の言うように少しずつステップを踏んでいくことによって成果が出るんですね。

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