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そば屋で息子と粋な時間 大人の会話とほろ酔い気分

そば屋ののれんは大人の世界の入り口だ

 子どもが成長するにつれ、親子で楽しめる遊びはぐんと幅が広がっていくもの。22歳社会人と高校生の息子を持つ著者・小栗雅裕さんが、大人の扉を開き始めた息子達に「大人の世界はこんなに面白いぜ!」と伝えるこの連載。今回のテーマは奥深い楽しみがある「そば」。長男の日本酒デビューにふさわしい場所として小栗さんが選んだのが、親しみがある中にも一本筋の通ったこだわりのあるそば屋でした。

話し出せば尽きないそばとそば屋の思い出


おいしいそばは盛られた姿もいい。「江戸蕎麦 一策」のそば

 そばが大好きだ。せいろやざるに楚々と盛られたあのたたずまいからしていい。誰が何と言おうと「ジャパン!」って感じだ。新そばの出回る秋から冬は、そばの香りが一段と際立つ。

 私のイメージは、一面に白い花が咲き乱れるそばの畑を吹き渡る夏の風の匂い、そしてその風には遠くで降った雨の甘い香りが混じっている。

 そば打ちは、そば粉に水を回して香りを立たせ、それを再び封じ込める、何一つ欠けてもいけない、足してもいけない丹念な儀式のような作業だ。うまいそばは一口すすった瞬間、封じ込めた香りが鼻の奥のほうで弾ける。思わず笑みがこぼれてしまう

 本当においしいそばに初めて出合ったのは、東京は目白通りの南長崎にあった「翁」だった。

 バイクで通りすがりに偶然入ったその店で、翡翠のように輝く美しいそばを見た。香りのよいそばというものがどういうものかが初めて分かった。つゆも抜群においしかった。そば湯で割って全部飲み干した。

 「翁」のご主人は名人・高橋邦弘さん。そのときは知る由もなかったが、その後、縁あって山梨の長坂に「翁」が移ってから、二度、三度と取材をさせていただいた。いつお会いしてもそばに対する情熱は熱く変わらず、面倒な取材にも真摯に対応していただき、この人の打つそばだからこその思いを強くしたものだ。

 もう一つ思い出すのは、室町砂場赤坂店と俳優・芸能研究者の故・小沢昭一さんだ。

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