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なんであんないい子が、がんなんかになるんだろう

小児科医と病気を持つ子どもたちの物語(2)生後6カ月から9歳になる直前までがんと闘った少女

 子育てに仕事にせわしなく追われながら日々繰り返される「日常」。ある小児科医がこれまでに出合った光景は、その何気ない「日常」がどれほど幸せなものなのか、立ち止まってかみ締め、向き合う機会を与えてくれます。書籍『君がここにいるということ』(草思社)に収録された5つの物語を、5回にわたってお届けしていきます。
 2回目は、たった生後6ヵ月のときからがんと闘ってきた小学校3年生の女の子の物語です。本が好きで、小学3年生なのに4年生の算数を解くほど賢くて、苦しい治療にあっても弱音ひとつ吐かなかったという彼女から、「命」について改めて教えてもらうようです

鉄板が入っているようにカチカチに

 未来ちゃんは小学校3年生になったばかりの女の子だが、小学校に通った日数よりも病院で過ごした日数のほうがはるかに多い。生後6ヵ月のときにおなかに発見されたがんとずっと闘ってきたのである。

 病名は「神経芽細胞腫」。子どもに発生する代表的ながんで、腎臓に付属する副腎という組織から発生する。乳幼児期に発見されることが多いが、自然に治ってしまうこともある不思議ながんである。

 一般的に、生後18ヵ月までに発症したものは自然に治りやすく、それ以降に発症したものは、予後が悪い。そのため、以前は生後6ヵ月のときに行う尿検査でスクリーニングしていたが、それでは治療する必要のない症例にも過剰に医療行為をしてしまうおそれがあるため、現在では1歳半健診のときに検査することが多い。しかし、6ヵ月の検査で見つかるものの中にも、きわめて悪性で治りにくいものがある。

 未来ちゃんの場合がまさにそうだった。

 何年もかけて抗がん剤治療を行い、その都度がんは小さくなるのだが、しばらくすると再発を繰り返した。

 神経芽細胞腫というがんは、どんどん大きくなり、がん組織がすごく硬くなるという特徴がある。外科的手術も複数回行ったが、全部は取り切れず、残ったがんがまた大きくなる。ついには未来ちゃんの腹部のほとんどががん細胞で埋め尽くされてしまい、彼女の小さなおなかは、まるで鉄板が入っているかのようにカチカチになってしまった


写真はイメージです

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小児科医と病気を持つ子どもたちの物語

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