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がんママ 「子どもとの城を守る」がモチベーション

(下)久野美穂さん 自分で自分の家賃を払いたいから、母とも同居しない。がんと共存しながら働くことを選択

励ましてくれる人がこんなにいると知った

―― 子育て中の働くお父さんお母さんに、これだけは伝えたいという思いはありますか?

久野 なんだろう……。「検診に行きましょう」とかそういう言葉じゃないんですよね……。うん、「あなたのことを大切にしてくれる人を大事にしてくださいね」ですね。

 私、病気になって改めて、励ましてくれる人がこんなにたくさんいるんだと気づいたんです。治療費のお金を集めるのに奔走してくれた後輩とも、実は5年くらい連絡を取っていなかった。それなのに、私の病気を知って、募金プロジェクトを立ち上げてくれました。

 彼女は新入社員だったときからチャキチャキとよく仕事ができて、でも「私、何でもできます」という雰囲気だったので、周囲からはなんとなく生意気だと見られていた感じの子。そんな中、私はある日、彼女の勉強ノートを見る機会がありました。仕事について、びっしり書いてあって、ものすごく努力家だと知りました。

 「あなたすごいよ。ここまでできる新人はいないよ。みんなに誤解されているから、このノートを見せたほうがいいよ」と私は彼女に言いました。結局、彼女はその会社を1年ほどで辞めて、今は自分で会社を興して社長になっています。その彼女が新人だったときに、「うちの会社には、はまらないのかもしれないね」と私に言われたことがすごくうれしくて、忘れられなかったと言うのです。病気になって初めて教えてくれました。

大切に思ってくれる人の存在に気づくだけでいい

久野  彼女だけでなく、私のことを気に掛けてくれる人が何人もいた。もちろん、義理の母も元だんなもそうですし。私の人生は、自分のことしか考えてこなかった人生だったけれど、病気になることで一歩引いて見たら、自分の周りにはこんなにも自分のことを大切に思ってくれる人がいるんだと気づいたんです。

 もともと病気になる前から私の周りにいたはずなのに、その人達に対して感謝の気持ちを持たずに生きてきたなと思って。あなたの周りには、あなたのことを大切に思っている人がいるんですよ、ということに皆さんにも気づいてほしいなと思って。

―― 気づくだけでいいんですか?

久野 いいと思います。気づいたら、その人に対する態度が自然と変わると思うから。

 あと、病気になったからなのかどうかは分からないのですが、人のために役に立つことをしたいと思うようになりました。今までは自分のことしか考えてこなかったけど、今は「何か人のためにできないだろうか」と思って。

 自分がシングルマザーになって、生活していくことに困っているシングルマザー達がたくさんいる現状を知ったこともあって、今はそういう人達が集まって暮らせるマンションのようなものを作りたい、という夢も持っています。宝くじで10億円当たったら何に使うかという話で盛り上がったときに、「私は自分のためには使わないだろうな」って。乳がん関連の基金を立ち上げるか、シングルマザーのための完全オートロックのマンションを建てるかしたいと夢見ています。

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