
子育て・教育
食べ物の好き嫌いは特に無理をしないようにする
新1年生のために親ができること【8】叱ることの弊害を意識して、一日一日を大切に
ひと口さえ、生理的に受け付けなくてダメということもある
日経DUAL編集部 前回は生活習慣についてアドバイスをいただきましたが、学校生活とといえば給食で好き嫌いをするのではないかと気になります。家庭でできることはありますか?
親野さん(以下敬称略) 親は給食のことが心配ですから、なるべく好き嫌いを無くそうと思うものです。もちろん、他の生活習慣に関することと同じく、好き嫌いに関しても親が工夫してあげたほうがいいのですが、好き嫌いに関しては、特に無理なことはしないように気を付けていただきたいのです。
工夫できることといえば、例えば、嫌いな食材があれば、それをおいしく食べられるようにしてあげるとか、一緒に料理をするとか。あるいは、オクラが嫌いならオクラを一緒にベランダ菜園でもいいから栽培する。こういった工夫をすることで嫌いな食材が食べられるようになることもあります。
また、啓発するということも一つの手です。オクラにはこういう栄養があるよとか、体にいいよとか。あのネバネバがいいんだよとか、絵本を使ってみたりしながら語ってあげる。そこで子どもが納得できれば、「じゃあ、食べてみようか」ということになる場合もあります。
しかし、親ができるのはここまでです。それ以上のこと、つまり、強制するとか、無理やり食べさせようとするのはやめたほうがいいでしょう。
これは私の知り合いの話ですが、幼いころに嫌いなバナナを無理やり食べさせられて以来、大人になっても見るのも嫌。もう、匂いを嗅いだだけでもダメだという人がいます。同じように、グリーンピースを無理やり食べさせられたことがあって、それ以来、母親のことが大嫌いというより、怖いと感じるようになってしまった人もいます。大人になっても母親が怖くて、成人したと同時に家を出て、めったに実家に戻ることもないそうです。食べ物が原因で、親子関係が崩壊してしまうケースもあるということを、知っておいていただきたいですね。
よく、「食べ物で好き嫌いをしていると、人間関係でも好き嫌いをするようになる」とか、「困難から逃れるような人間になる」から、好き嫌いを直そうという発想をする人がいますが、それは考え過ぎといいますか、妙な迷信です。野球のイチロー選手などは、かなり好き嫌いがあるということでも有名ですが、あれほどの選手です。決して困難から逃れるような人ではないですよね?
ですから、できる範囲のことはしてあげてみて、無理なことはしない。よく、「ひと口だけ食べてごらん」と言う親も多いのですが、これも微妙です。それで背中を押されて食べられるようになることもあるかもしれませんが、そのひと口さえ、生理的に受け付けなくてダメということもあるわけですから。
画像はイメージです(撮影:鈴木愛子)

國尾 一樹
コンテンツ企画・編集&ライター。早稲田大学卒業後、小学館の学年誌にてライター活動を開始。その後、主に週刊誌にて幅広いジャンルの特集記事、ルポ記事などを取材・執筆。ベネッセ『こどもちゃれんじぽけっと』の親向け情報誌にて父親のための子育て情報連載『オトコマエ育児』を担当した。以降、娘を持つパパライターとして、主に子育てや教育に関するメディアの特集記事や連載、書籍などにも関わっている。娘は現在、公立小学校と公設学童に通う2年生。“育児は育自”をモットーに毎日、娘から学ぶ日々を送りつつ、目黒区「子ども施策推進会議」委員として3年近く参加した。子育て&家事に積極的に関わろうとする父親のための集団やプロジェクトなどでも活動中。
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