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母親達のうつ、虐待、早期離婚 産後ケアで防ぎたい

NPO法人マドレボニータ代表インタビュー・吉岡マコさん(下)産後のエクササイズプログラムを社会的なインフラに

 妊産婦の死亡原因のトップは自殺――。そんな驚くべきデータが2016年4月に発表された。東京都監察医務院と順天堂大学が共同で実施した調査によると、東京23区で過去10年の間に自殺した妊産婦は63人。妊娠中の女性が23人、出産後1年未満の女性が40人で、出産した女性10万人につき、8.5人の割合で自ら死を選んでいるという計算だ。周産期に病気や事故で亡くなる女性が10万人当たり4人であるのに比べると、倍以上の数だ。自殺の原因にはホルモンバランスの変化による「産後うつ」が挙げられ、早急な対策が求められている。
 妊産婦をめぐる問題は自殺だけではない。産後から間もない早期離婚や幼児虐待など、これまで妊娠出産とは直接結びつけられなかった問題が、近年次々と検証され始めている。この問題に正面から向き合い、対策を講じようとしている団体がNPO法人マドレボニータだ。妊産婦のためのフィットネス教室の運営をはじめ、産後の実態を調査した「産後白書」の出版、シングルマザーや障害児の母といった社会的に孤立しがちな母親達を支援する基金など、一貫して産後の女性をサポートする活動を行っている。
 活動を始めたきっかけは、代表の吉岡マコさん自身の体験がきっかけだった。彼女もまた、シングルマザーとして子育てをし、産後のつらさと向き合った女性の一人だったのだ。インタビュー下編は、日本の産後の現状と今後の課題について、データを交えながら吉岡さんに解説してもらった。

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(上)吉岡マコ 産後の女性には「リハビリ」が必要

吉岡マコ
1972年12月27日、埼玉県入間市に生まれる。1996年に東京大学文学部を卒業後、同大学院生命環境科学科(身体運動科学)に進学し、運動生理学を学ぶ。1998年3月、留学先で出会ったパートナーとの間に1子をもうけるも、産後8カ月で関係を解消。以降はシングルマザーとして長男を育てている。1998年9月に東京・下北沢で「産後のボディケア&フィットネス教室」を開講。教室運営および産後ケアの啓蒙活動を「マドレボニータ」と名付け、2008年2月にNPO法人化。2016年9月現在、全国60カ所以上で24人のインストラクターとともに教室を運営している。

虐待や離婚は個人ではなく社会の問題

―― 近年、産後うつや産婦の自殺問題などがニュースで取り沙汰されるようになってきました。

吉岡マコさん(以下、吉岡) 2013年に発表された厚生労働省の調査によると、産後うつの発症率は産婦全体の9%。およそ11人に1人の割合で発症しているということになります。

 また、早期離婚と呼ばれる産後2年以内(末子の年齢が2歳以下)での離婚件数は、調査対象となった母子世帯の35%にも上り、その他の年代と比較してもダントツに多い数字となりました(平成23年度全国母子世帯等調査結果報告より)。

―― ドラマでも取り上げられて話題になった「産後クライシス」の結果でしょうか。

吉岡 そうだと思います。私がパートナーとの関係を産後8カ月で解消したのも、この事例に当てはまると思います。彼とは産後についての備えや相談をまったくしてこなかったので。

―― そのほかに、産後の問題として、今何が取り沙汰されていますか。

吉岡 虐待です。厚労省の2014年のデータでは、虐待によって死亡した子どもの年齢は0歳が最も多く、全体の43.1%です。産後うつ、早期離婚、虐待死など、産後にまつわる様々な問題が起きているのに、それぞれがバラバラの事例として取り上げられ、ほとんどデータ化されていませんでした。離婚も虐待も個人の問題とされてしまい、子育てが社会の問題として捉えられてこなかったからです。

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