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がんになり分かった弱者の気持ち 子ども用ウィッグ

へアドネーション(上)毛髪を寄付で集める方法、賛同美容院の募集…ゼロから仕組みを作った

 産業カウンセラー、フリーライターの太田由紀子です。私は、2015年2月に受けた人間ドックで腫瘍が見つかりました。がん罹患の恐れがあるので4月に腫瘍摘出手術を受け、術後の病理検査でがん罹患が確定、がんのステージが決まり、抗がん剤治療を6カ月間受けました。現在は、3カ月ごとの定期検診を受けています。
(関連記事「『悪い顔をしています』と言われたら卵巣がんだった」「抗がん剤治療中も家族が“普通”でいてくれた幸せ」)

 思いもしなかったがん罹患。当たり前だった日常から、急に大病人となり世間から隔離されたようで、とても戸惑いました。「がん」という高速のベルトコンベヤーに乗せられた私は、本人の意思などお構いなしに、検査、手術、抗がん剤治療の渦に巻き込まれ、大きな不安や悲しみ、恐怖感などの感情に浸る暇もなく、慌ただしい日々を過ごしました。

 がんに負けるな、頑張れ!とたくさんの人に応援されました。そのたびに、「私は負けたの? 何に勝たないといけないんだろう?」と自問自答しました。そして思いました。

 「私は負けたんじゃない、敗者ではなく弱者になっただけ、今、病気のほうが強いだけ

 抗がん剤の治療の副作用が始まると、心身共にダメージは大きいものでしたが、これから生きていくために必要な治療です。納得しようと努力しました。

 弱者になってみると、今まで知らなかったことがたくさん見えてきました。知ろうとしていなかったことにたくさん出会えました。この連載では、これまで普通に送っていた日常の中で、知らなかったことや気づかなかったことを、弱者の視点で紹介していこうと思っています。

美容院に併設されている小さなサロンで、白い箱に出会った

 抗がん剤治療が始まると、頭髪が抜けてしまうと言われました。当時、私は腰くらいまであるロングヘアでした。頭髪が無くなってしまうなんて、イメージさえできません。

 とにかく嫌で逃げ出したい気持ちでしたが、仕方ありません。覚悟を決めた私は、長いまま脱毛が始まると大変なので、短くカットすることにしました。人によっては、抜ける髪が少なくて済むようにショートヘアや坊主頭にしてしまう人もいますが、私はせっかくなので、これまでにしたことのない髪形にしようと思い、娘達と同じ、耳の下くらいのボブヘアにしました。


左/散髪前はロングヘアでした。右/2人の娘達とおそろいのボブに。中央が私です

 髪を切ったら、今度は脱毛後のウィッグ探しです。病院でパンフレットをもらったり、インターネットで検索したりして調べました。

 ウィッグといっても、おしゃれで使うウィッグと医療用ウィッグは分かれていました。頭皮に触れる部分の作り方が違うのです。毛髪も人毛(人の髪)100%のフルオーダーで作る高価なものから、人工毛とミックスされているお手ごろな価格のものなど様々で、髪形もたくさん種類がありました。これは実際に触れかぶってみないと決められないと思い、いくつかのウィッグメーカーを巡っていたときに、出会いがありました。

 そのお店は、ウィッグメーカーではなく、美容院にウィッグ部門が併設しているような小さなサロンで、美容師さんと髪形など打ち合わせしながら選べるアットホームなお店でした。店内に展示してある様々なウィッグを見ていると、白い箱がありました。

 子供達のためにわたしたちができること

 それは募金箱でした。カットした髪の毛を、子どもにあげる……小児がんや頭髪に悩みを持つ子どもに無償でウィッグをプレゼントする活動。箱にはそんなことが書いてありました。

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