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子育て・教育

障害児の母の95%は安定した就労ができていない

【障害児保育を考えるシンポジウムレポート】医療的ケア児は年々増加。社会から断絶され仕事を辞めざるを得ない家族の現実

池下 行政が障害児保育園をまだ理解してない部分もありますね。

駒崎 ヘレンは障害児の通所施設の仕組みを上手く使いながら、いろんな制度を組み合わせて長時間預かることを可能にしています。行政としては想定した制度の使い方ではないので、理解しにくい部分はあるかも。しかし、粘り強くやっていけば、理解してくれる人も増えるはず。へこたれずにやっていきたいです。

少人数でもいいので親の会を結成して自治体に働きかけてほしい

 質疑応答では、重度の脳性麻痺の子どもを育てている出席者から「預け先が全くなく、困っている状況」という声が上がった。

駒崎 ヘレンのような施設を全国的に広げていくことは大切ですが、誰でもヘレンのような施設を作れるように、法律に「医療的ケア児」という言葉を入れることが実現したところです。法律が施行され努力義務が課せられて、自治体も少しずつ動き始めています。自治体を動かすには、3人ぐらいでもいいので親の会を結成して陳情してほしいです。世田谷区でも親の会が区長に働きかけたところ、区長がすぐに視察に来てくれた結果、今年2月に「障害児保育園ヘレン経堂」をスタートすることになりました。諦めずに行政に対して声を上げてほしいと思います。

佐々 何よりも、今すぐに、少しでも助けがほしいのが現実だと思います。すぐにできる方法として、保育や福祉の学校に学生ボランティアをお願いしてみてはどうでしょうか。彼らはとても優秀で、色んなことを学びたいと思っているのですごくよくみてくれます。一人きりで見るのは学生も不安だと思うので、2人1組になってもらい、最初はお母さんと一緒にみてもらって慣れてもらいます。2時間でも3時間でも手の離れる時間ができれば、お母さんも助かるはず。きょうだいとも遊んでくれたりして、とても力になってくれると思います。

◆ ◆ ◆

 障害のある子どもを産む可能性は誰にでもあるが、実際に自分の身に起こるまではその真の苦労を想像することは難しく、どこか人ごととして捉えている人は多いのではないだろうか。シンポジウムに参加して、当事者家族の大変な苦労と、社会的な仕組みが整っていないことに驚いた。

 佐々さんが尚くんとの2年3カ月を綴った著書『あなたは、わが子の死を願ったことがありますか? 2年3カ月を駆け抜けた重い障がいをもつ子との日々』(現代書館)のあとがきにはこう書かれている。

 「尚くんのことがあったからではなく、その前から、もっと障害者も健常者も当たり前に入り混ざった世界の中で私は生きてきたかった。そうすれば、尚くんとの2年3カ月の時間が、そのスタートのときからもう少し生きやすいものになっていたのではないかと思う。この世に生きて生かされている人々が、それぞれの望む人生を生きていけることを、自分の場合も含めて願い、祈っている」

 佐々さんは「NAOのたまご」を設立。健常者と障害者がともに生きる社会を目指し、心のバリアフリーを進める活動をしている。

(取材・文/中島夕子 イメージ写真/PIXTA)

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