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金子達仁 息子のおかげでわたしは真人間に近づいた

幼稚園の先生に「きちんと時間通りにお迎えにきて下さらないと困ります!」と一喝された。高校時代、週3回は遅刻していたわたしだったが……

「きちんと時間通りにお迎えに来てくださらないと困ります!」

 保育園に通う虎は顧客だった。

 幼稚園での虎は生徒だった。

 自慢できることではないが、わたしはあまり時間に正確なタチではない。本人は否定するだろうし、こちらとしては時々「それでもテレビ業界の人間かよ」と思わないこともないのだが、ヨメもまた、かなり時間にはルーズである。なので、保育園の送り迎えは、お願いしていた時間通りではないことが多々あった。ありがたいことに保育園の対応はいつも笑顔で、こちらはエクストラ・フィーを支払うだけでよかった。

 幼稚園は違った。送っていく時はもちろんのこと、迎えに行く時も遅刻は許されなかった。入園3日目か4日目のこと、保育園の感覚でお迎えがちょっと遅れてしまったわたしは、若い先生にピシャリと言われた。

 「きちんと時間通りにお迎えに来てくださらないと困ります!」

 子どもの力は偉大である。

 かつて「今年中に書き上げます」と光文社の編集者に約束した単行本の執筆が3年遅れたこともあるわたしが、幻冬舎に計200万円ほどの経費を使わせてヨーロッパ&アフリカ取材までしておきながら、何となく書くのがめんどくさくなって書き下ろしをバックレたわたしが、「ここで遅刻すると息子の立場がない!」と思っただけで、以後、遅刻をしなくなった。

 高校時代、週に3回は確実に遅刻をしていた人間が、4月からの9カ月間で1回か2回しかお迎えに遅れなかった。遅れた理由も、わたしが時間にルーズだったから、ではなく、単に仕事が押してしまったからだった。

 息子よ、おかげでキミのパパはちょっと真人間に近づいたぞ。

 遅刻に対するタブー意識がない週4日と、絶対に遅刻が許されない週5日は、似ているようでまるで違った。大学を卒業してからかれこれ30年近く、週末を安息日としてではなく、取材するための日としか考えてこなかったわたしが、今年は心底土曜日が来るのを楽しみにするようになり、月曜日が近づいてくるとちょっとした憂鬱を覚えるようになった。

 幸いだったのは、虎がすっかり幼稚園を気に入ってくれたことだった。

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