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小さなエビデンス積み上げ、「越境する行政」目指せ

子育て・教育

小さなエビデンス積み上げ、「越境する行政」目指せ

経産省・若手官僚インタビュー(下)学校・警察・NPOが連携した結果、青少年犯罪率が減った海外事例も

 少子高齢化、人権、子育て支援など、今日本の社会が直面している諸問題について、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんが各界の専門家や政治家に切り込む本連載。今回は、日本の将来に対する危機感を“官僚らしくない”表現と切り口でまとめ、ネットで話題になった提言ドキュメントの作成者、経済産業省の若手官僚たちに話を伺います。

■「上」編
経産省の若手官僚らが投げかけた、政策の新手法とは

※インタビューは2017年7月に実施。この記事の内容は当時の状況や情報に基づいています。

財源の議論はネクスト・ステップ

駒崎弘樹(以下、駒崎) 5月に経済産業省の若手官僚たちが発表した、これまでなかったタイプの提言『不安な個人、立ちすくむ国家』について話を聞いています。提言は65ページにわたるもので、第二次産業ベースの社会構造が破たんしつつある現状や少子高齢化まっしぐらの日本社会に対する危機感を示し、新たな仕組み構築の必要性を問いかけています。

 では、このへんで疑問を一つ。今回の提言を全部読ませていただくと、なんとなく全体の印象として緊縮財政気味のトンマナ(トーン&マナーの略)が存在していると感じました。僕自身、普段の活動で財務省の方々の話を聞いていて強く感じるのは、何を語るにも財源緊縮の前提に立っているなと。でも、発想を変えて、財政出動もありだと条件を広げるだけで、可能な選択肢は増えるはずですよね。須賀さんと今村さんのご所属はまさに「経済」「産業」を担う省なのですから、もっと強気の提言を出していってもいいのでは、という感想を持ちました。

 オックスフォード大学の公衆衛生学者デヴィッド・スタックラーも、著書『経済政策で人は死ぬか?』の中で、緊縮財政は人々の健康や生死に影響を与えるリスクがあると警鐘を鳴らしています。例えば、IMFショックのときに韓国は緊縮政策を取ったけれど、結果として自殺率が上がった。対して成長路線を貫いたマレーシアは早期に回復したといわれています。お財布を直接預かっている財務省が緊縮に傾くのは仕方がないと思うのですが、他の省まで同調する必要はないのではないかと。むしろ財務省に対してカウンター・メッセージを向けるような役割を担っていただきたい、と期待します。

今村啓太さん(以下、今村) お金を使うか使わないかで言えば、一般的な役人の性としては「小さい政府」を目指そうとは思っていません。やりたいことはたくさんあります。

須賀千鶴さん(以下、須賀) ただ、何かを具体的に想定するときには必ずリソース制約を考える、というのは良くも悪くも官僚のクセなのかもしれません。できそうな範囲でしか話ができないと言いますか。でも、今回の提言では、あえて財源とは切り離した議論を意識したつもりです。まず、プライオリティー付けが第1ステップであって、財源はネクスト・ステップ。お財布の枠が決まれば、優先順位に沿ってお金をつければいい。その順番を明確に守ることで、やっと本質的な議論ができると思っています。財源をどうするかというのは、最終的にはテクニックだと思っていて、それこそ役人の間で調整していけばいい仕事。今はそのテクニカルな部分の議論だけに国民を巻き込みがちで、本来やるべきプライオリティーの議論ができていないのがもどかしいんです


商務・サービスグループ政策企画委員の須賀千鶴さん(右)とコンテンツ産業課総括係長の今村啓太さん(左)

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