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子どもと一緒に本物の落語が楽しめる「親子寄席」

子育て・教育

子どもと一緒に本物の落語が楽しめる「親子寄席」

落語を聞いて笑いながら、みんなで助ける優しさを学べる

「子ども向けに工夫しなくても、十分理解できる」

 この「親子寄席」を始めたのは、現在、鈴本演芸場・席亭の鈴木寧さん(席亭とは寄席の経営者のこと)。23年前、「子どもたちに、本物の落語を聞かせたい」という想いで立ち上げたそうです。

 鈴木さんが最もこだわっていることは、「今をときめく、一番生きのいい噺家の落語を、子どもたちに聞いてもらう」こと。今回も、春風亭一之輔師匠がトリをつとめたように、今一番脂ののっている噺家をキャスティングしています。

鈴木さん(以下、敬称略) 子どもたちに落語を聞いてもらうには、「誰に、何の噺をしてもらうか?」というところは、かなり吟味しなければなりません。私は「席亭」という立場なので、365日毎日高座を見ています。その中から、「これはぜひ子どもたちに聞かせたい!」という出演者と演題を、1年かけて選んでいます。

 前にも書きましたが、噺家は高座に上がる直前に演題を決定するため、事前に「何の噺をかけるのか」は決まっていません。ですが、鈴木さんは出演者にオファーをする際に「○○の噺でお願いします」と演題を指定して依頼するのだそう。毎日見ているからこそ、「子どもたちに、この噺家さんの、このネタを聞かせたい」という、深いこだわりがあるからです。

 「子ども向けに工夫したり、変えたりしていることはありますか?」とお聞きしたら、驚きの答えが返ってきました。

鈴木 子ども向けに変えていることは、ありません。師匠方にも、「普段通りにやってください」とお願いしています。子どもは想像力のかたまりですから、大人が考える以上に噺を理解していますよ。難しい言葉が出てきても、いいんです。それが親子の会話のきっかけになればと思っています。

 鈴木さんは、あえて子ども向けにアレンジはせず、“本物を聞かせる”ことにこだわっています。過去23回にかけられた演題のリストを見せていただいたのですが、中には「死神」などの難しい作品も。そもそも、出演者と演題を選ぶ時点で、「子どもに聞かせたい噺か、そうではないか」ということは吟味されていますし、なにせ席亭が選んでいるのですから、そこには大きな安心感があります。最近では、ホールやイベント会場などで子ども向けのイベント寄席も数多く行われていますが、やはり「本物の寄席」で、「席亭が選び抜いたもの」を子どもに触れさせるというのは、唯一無二の体験です。

 さらに鈴木さんは、「今の世の中に欠けていることが、落語の中にはある」と語ります。

鈴木 落語には、「いじめ」がないんです。噺の中に「与太郎」といって、何をやっても失敗ばかりする人物がよく登場します。この「与太郎」に対して、同じ長屋に住む人々は、呆れ返って叱咤していますが、みんなで助ける優しさも持っています。落語の笑いの中に、暴力は存在しません。落語を通して、親子みんなが笑ってくれたらと思います。

 赤ちゃんを抱えてしんどいとき、私は「落語」にずいぶんと助けてもらいました。「与太郎」は失敗ばかりするけれど、楽天的で、ちっとも気にしません。毎日の子育てで失敗の連続、落ち込んでばかりいた私は、この「与太郎」に深い親近感を覚えました。周りの人たちは、「おめぇは、どうしようもねえなぁ!」なんて文句を言いながらも、とっても楽しそう。その温かい感じが、とても好きでした。その影響からか、いろんなことを「まあ、いっか」と思えるようになり、楽になりました。子育てについイライラしたとき、癒やしの効果もあるのではないかと思います。育児中のママやパパも、ぜひ落語の世界を覗いてみてください。

 「夏休み親子寄席」の入場料金は、大人も子どもも1000円。子どもは、未就学児から大学生・専門学生まで。15歳以上25歳未満の学生は、学生証の提示が必要です。大人は、子ども同伴の場合に限り入場できます。本物の寄席で未就学児が入場できる日を設けているのは、「鈴本演芸場」だけ。毎年夏に行われています。来年の夏は、ぜひ家族で足を運んでみてはいかがでしょうか。

▶ 鈴本演芸場 http://www.rakugo.or.jp

安田美香

安田美香

ホリプロのアナウンス部に所属。立教大学文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科にて、芸術学修士号取得。小学2年生男の子と保育園年中女の子を子育て中。出産後、子育ての孤独に押しつぶされ泣いてばかりいた経験から「ホリプロ保育園」えんちょー、「3・3産後サポートプロジェクト」発起人などをつとめ、子育ての様々な声を集め発信している。Jリーグ中継リポーター、TBSラジオ「伊集院光とらじおと」水曜アシスタントなど出演中。
●安田美香オフィシャルブログ http://ameblo.jp/xanadu09/
●ホリプロ保育園オフィシャルブログ http://lineblog.me/yasudamika/

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