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卒園、卒業の季節に「恩」を知り「恩」に報いる

卒業・進学を迎えて次のステップに進む子どもに、お父さん・お母さんから伝えてあげたい禅語を紹介します

名僧・松原泰道を祖父に持ち、東京都世田谷区野沢にある『龍雲寺』第十二代住職を務める細川晋輔さん。2歳の娘さんを持つパパでもあります。龍雲寺は「臨済宗」という禅宗のお寺です。禅宗の長い歴史の中で、多くの禅僧たちが“心を調えるために”伝えてきた言葉は「禅語」と呼ばれています。「こんなとき、どうしたらいいのかな」。子育てにちょっと戸惑いを感じたときに、“心のサプリメント”として効く禅語をご紹介していきましょう。

生涯現役を貫いた祖父は、「洞爺丸」に乗る予定だった

 こんにちは。2月、3月は本当に慌ただしいですね。3月は卒業のシーズンですから、その準備で忙しいお父さん、お母さんもたくさんいらっしゃることでしょう。保育園、幼稚園に登園するのを泣いて嫌がっていた“あの子”が。小学校に登校するときに不安そうに何回も振り返ってバイバイをしていた“あの子”が。もう卒業するんだねえ……。ご夫婦で、そんな会話を交わすことも多いのではないでしょうか。

 これから卒業を迎えるお子さんたちに私がお届けしたい言葉は『知恩報恩(ちおんほうおん)』という禅語です。 人から受けた「恩」のありがたみを知り、その「恩」に報いるために自分ができることを精いっぱいしていく

 この言葉の意味は、私は祖父・松原泰道の生き方から学んだように思います。

 祖父は2009年に101歳で亡くなりましたが、亡くなる直前まで禅僧として執筆活動をしたり、講演などに出掛けていました。祖父の名刺にはいつも、こう書かれていました。

 「生涯現役・臨終定年」

 祖父はまさしく生涯現役の禅僧として働きましたので、今から思えば実に祖父らしいモットーであったなと思います。

  皆さんは「洞爺丸事故」のことをご存じでしょうか。1954年(昭和29年)9月26日、台風15号によって起きた青函連絡船「洞爺丸」が沈没した大惨事です。この時、乗客乗員合わせて1155人の尊い命が奪われました。私の祖父はその当時46歳。実はこの洞爺丸に乗船する予定だったそうです。しかし当日たまたま、一つ前の船に乗ることになり、祖父は命をこの世に生かされました。洞爺丸が沈没したのは、夜11時前のことです。暗い海に沈んだ船のこと、そして船と共に亡くなられた方々のことを、その後、祖父は片時も忘れることはなかったと思います。

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