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働き方改革はなぜ実感が得られないのか

東大の柳川範之教授に学ぶスペシャルゼミ第2回。働き方改革は現場の声を吸い上げることから始まる

理想的な改革はボトムアップを受けてのトップダウン

柳川 その通りです。改革をよりよく実現させるためには、トップダウンではなく「ボトムアップ」で進めていくこと。現場の人々が「こんな働き方ではやっていられない! こんなふうに変えてくれ!」と上に要望を出し、それを受けて上司や社長がリーダーシップを発揮して変えていくことが、納得感のある改革につながります。

 さらに経営陣が、「現場からこんな要望がある。でも、法律が整っていないから変えてくれ!」と政府に要望を出すことで、政府が「そういう要望があれば、法律を変えていきましょう」という流れになると、誰もが納得感を得られます。

 このようなボトムアップが理想形ではあるのですが、実際のところ日本では、よほど困ったことがない限り、現場から上に声を上げることはなく、社会的なムーブメントによって法律を変えることは起こりにくいですね。

―― 日経DUALでも紹介しているような「働き方改革がうまくいっている会社」の事例を見ると、現場の声が上に届きやすく、それを受けて社長がトップダウンで指示することによって、うまく回っているような気がします。

柳川 そうなんです。今回の法改正は政府からのいきなりの「トップダウン」と感じるかもしれませんが、これを機に、現場がどのように働きたいかをどんどん発信してほしいと思います。そのニーズを社長や政府がくみ取っていくことで、よりうまく社会が回っていくことにつながります。

 今、働き方改革を含め、「うまくいっていない」と感じる会社では、「とにかく決まったことなので、これをやりましょう」と、何のためにやっているか分からないまま進めているのではないでしょうか。そうすると、納得感のない現場には不満がたまるだけです。

 会社の戦略次第でも、現場の納得感が変わるので、それぞれの社内で話し合っていくことが必要でしょう。

―― 理想的な働き方は、会社それぞれ、個人それぞれで違うということですね。

柳川 はい。今回の法律改正をきっかけに、どんな働き方が一番いいかを考えて、社内で話し合ってほしいと思います。リモートワークを解禁すればいいのか、その場合は誰にどんなルールを適用したらいいのか。一人で成果を出せる職種ならいいですが、多くの人数が集まって組み立てるような仕事であれば、リモートワークは難しいかもしれない。社員みんなにとってメリットがある方法を模索していく必要があります。

 柔軟な働き方ができれば、自由度は広がります。どんなふうに広げていくのかが大事だと思います。

 とはいえ、言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのはとても難しいことです。というのは、現場で働く人たちは今まで「働き方」について考えることに慣れていなかったからです。

 これまで、働き方といえば週5日勤務のフルタイム、残業ありというのが基本で、その働き方ができない人は、極端にいうと「辞めてください」という状況でした。自分たちが創意工夫をして働き方を考えることは、大部分の人にとって経験がないこと。今までは人事や会社のトップだけが考えることだったからです。

 そこから少しずつマインドを変えていく。「自分はどんな働き方をしたいんだろう」「どんなふうに働けばより充実できるんだろう」と個々人が考えていく時代になったのだと思います。

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