高根澄子先生に聞くモンテッソーリ教育のエッセンス

子育て・教育

高根澄子先生に聞くモンテッソーリ教育のエッセンス

新連載【生命のリズムに耳を澄ませば】高根学園理事長と教諭が語る「モンテッソーリ教育との出合い」

 マーク・ザッカーバーグ、ピーター・ドラッカー、ビル・ゲイツ、バラク・オバマ……。

 幼少期にモンテッソーリ教育を受けたといわれる偉人たちの顔触れはそうそうたるものです。彼らに共通する革新性、創造性、リーダーシップはいかにして養われたのか、実はそれが一番気になるというパパやママも多いのではないでしょうか。

 この連載はその答えのヒントをモンテッソーリ教育のエッセンスに探っていく試みです。

 「モンテッソーリ教育とは何ぞや?」という命題を分かりやすく紐解いてくださるのは高根学園理事長、高根澄子先生と、高根先生の実娘でマリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール教諭、久保田穂波先生です。「日本初のモンテッソーリ認可小学校設立に向け、始動中」というニュースは皆さんの記憶に新しいことと思います。

 「子どもたちこそが私の先生」と、現在も第一線で子どもたちと向き合う毎日を送る澄子先生が、初めてモンテッソーリ教育に出合ったのは何と40歳を過ぎてからだったといいます。学びたい一心で単身渡伊。イタリアの地でマリア・モンテッソーリの直弟子、アントニエッタ・パオリーニ氏に見初められ、モンテッソーリ教育の薫陶を直々に受けることに。澄子先生はいわば、マリア・モンテッソーリの孫弟子。以来、モンテッソーリ教育の第一人者として活動し、現在に至ります。

 これまでDUAL読者のために惜しみなく実践アドバイスをしてくださっていた故・相良敦子先生とは生前、「同志」として親交を深めていた旧知の間柄だったそう。相良先生も子どもたちを観察するために何度も高根学園を訪れていたと聞き、不思議なご縁を感じないではいられませんでした。

「敏感期」とは、子どもの生命の衝動の表れ

マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール教諭、久保田穂波先生

久保田先生(以下、敬称略) ようこそ、いらっしゃいました。不思議な学校でしょう?

日経DUAL編集部(以下、――) 想像はしていましたが、やはり実際に足を運んでみないと、子どもたちがどういう表情で、どんな目をして手作業に没頭しているのか、分からないことだらけですね。

 特徴的だと感じたのは子どもたちがとても静かなことです。良いか悪いかはさておき、私の子どもが通う小学校では常に先生が元気よく大きな声を出していることがデフォルトで、子どもたちもそれに負けまいと叫んでいる。そんな日常に慣れていました。ここでは子どもたちはみんな、意識的に静かに話しているのですか。

久保田 見学にいらっしゃる方々は、皆さん、口をそろえてそうおっしゃいますね。これは子どもたちの自然の姿なのです。

 一人ひとりが自分のやりたい活動に集中していくと、お部屋の中はいつの間にか静かな環境になっていきます。みんなが友だちの集中のお邪魔にならないように、他者を尊重している姿とも言えるでしょう。そんな環境の中で、子どもたちは先生の声には敏感です。大きな声で誰かに声を掛けようものなら、一斉に意識がそこへ向いてしまい、せっかくの活動が中断してしまうこともあるでしょう。

―― 教室内で子どもたちの注目を促すときに先生たちが「チリンチリン」と小さな鈴を鳴らしていたのも印象的です。それに、どこからか音がすると思って見たら、教室の片隅で小さな女の子がベルを奏でていたり。楽器の音は影響力がありますから、子どもは案外、人前で演奏することを恥ずかしがったりするものですが、彼女は皆がそれぞれの活動をしている中、堂々と演奏していて、また、周りの子もそれを当たり前の光景として受け取っていました。

 かと思えば、同じ教室に鏡に向かって一生懸命髪をとかしている子もいれば、下ろし金で大根を飽きずにすり続けている子もいます。また別のお教室では、きれいなビーズ玉を使って銀行ごっこをしている子どもたちの姿に驚かされました。それからアイマスクをして積み木遊びに集中している子もいましたね。あれは何をしていたのでしょう。

久保田 はめこみ円柱ですね。今日は目隠しをして遊んでいましたが、子どもたちは何回も繰り返しているうちに目隠しをしても太さや高さを直感覚で感じられるようになるんですね。これらの教具はマリア・モンテッソーリによって考案された「感覚教具」と呼ばれるもので「五感を洗練し、敏感にさせる」という目的を持っています。

―― ということは、五感は後天的に洗練できる、と?

久保田 そうですね。五感を刺激するのにもタイミングがあります

 このタイミングのことを、マリア・モンテッソーリは「敏感期」と呼びました。一人ひとりの生命の衝動の表れです。成長する過程で見せる「見たい」「触りたい」などの生命衝動のタイミングに大人が気づいてあげることが大切です。この時期の子どもは、何でもやりたい、知りたいという心の内からの強い欲求に動かされます。ですから「敏感期」に合わせて、適切な援助がなされたならば、子どもは様々なことを驚くほどいとも簡単に吸収し、人格の一部に取り込んでいきます。

―― その「敏感期」というのは子どもによって違うものでしょうか。

高根学園の教室にて。本文中の「ベルを奏でる女の子」の写真(右から3人目)。連載看板の写真も、すべて高根学園で撮影されたもの

無料会員登録すると続きをご覧いただけます。

無料会員限定の記事の閲覧
「みんなのラクラク保育園検索」の利用
日経DUALメールの購読(無料)

日経DUALの最新記事やイベント開催情報などをお知らせするメールマガジン「日経DUALメール」をご購読いただけます。

敏感期に合わせて大人が関わると、子ど...
前へ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

DUAL Selection

-PR-
閉じる

会員になると、共働きライフに役立つ限定記事が読めるようになります。日経DUALとは

今すぐ会員登録する