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子育て・教育

娘の自閉症描く絵本で「皆違っていい」を伝える

『すずちゃんののうみそ』著者、竹山美奈子さんインタビュー(上)/どんな人にも「違う」ことによるつらさやストレスはある

子どもたちが、障害を理解できる紙芝居を自費出版

── 保育園の子どもたちが、すずちゃんとも、竹山さんご自身ともとても良い関係を築いていたことが伝わってきます。それで、お礼の気持ちを伝えたいと。

竹山 そうなんです。手紙代わりに紙芝居を作ることにしたんです。

 最初は手紙として書いていたのですが、年長の子どもたちに手紙を読んで聞かせるのも味気ないなと思いました。そこで、長年、出版社で編集やデザインの仕事をしてきた経験を生かして紙芝居にすることにしました。大人になっても思い出してもらえるような印象的なものにしたかったので、絵はプロに頼むと決めました。

 絵本ではなく紙芝居にしたのは、ちょっと難しい障害の話なので、絵を見て感じて、理解してほしかったからです。

 製本しない分、絵本を作るより安いというコスト的な事情もあったんですけどね(笑)。イラストはアトリエ Bonamiの三木葉苗さんにお願いし、題字は葉苗さんの妹さんで、娘と同じ重度の知的障害を伴う自閉症をもつ咲良さんに書いていただき、表紙の印刷やパッケージは葉苗さんの旦那さんの杉山聡さんにお願いしました。

──とても繊細なタッチの絵で、表情だけでも子どもたち、そしてすずちゃんの様子が伝わりますよね。当初はお友達へのメッセージだったというこの紙芝居を、絵本にしたのはどういう経緯でしょう?

竹山 紙芝居には通常、本文の下の部分にト書きがあります。その部分に読み手となる保育園の先生など大人の方に向けて、本文に合わせた自閉症の特徴を書いたんです。

 するとその特徴部分が良かったのか、「小学校の先生をしている友人に贈りたい」「保育園の資料にしたい」「福祉施設の教材にしたい」など、口コミで購入希望者が増えました。当初は親族やお世話になった先生、周りの方々に差し上げる記念として50部だけ刷り、アトリエ Bonamiさんで一部販売していただいたのですが、原画展などですぐに完売してしまい、100部追加で刷りました。ところがそれも即完売。結局第4刷、計350部刷りました。

 娘の特別支援学校入学と同時に私は会社を辞めて、自閉症児との日常を少しでも知ってもらえたらと、ブログなどのSNSを始めたのですが、いろんな方から紙芝居の感想をいただくようになったんです。その中に、「夜、毎晩のように読み聞かせているけれど、紙芝居だとバラけて読みづらい」「一人で読みやすいように文と絵を一緒に見たい」という理由で絵本にしてほしいというリクエストが多数あって。

 とはいえ、自費出版で絵本を作るのは、費用が高い……。そこで、原稿の持ち込みや自費出版の相談を受け付けている出版社を探したんです。

 結果、実はアトリエ Bonamiさんで紙芝居を購入されたブックデザイナーの椎名麻美さんが、岩崎書店の編集者の方に「いいお話があるよ」と紙芝居をプレゼントしてくださっていて、そのご縁で岩崎書店の編集者さんに相談したところ、自費出版ではなく、企画が通って商業出版していただけることになったんです。通常企画から2~3年かかるといわれる絵本の出版が、10カ月というスピードで進んでいきました。

── それだけ心を動かす内容だということが大きかったのだと思います。

『すずちゃんののうみそ』(岩崎書店)より
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