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かこさとし 子を思う親の気持ち、懸命であればいい

子育て・教育

かこさとし 子を思う親の気持ち、懸命であればいい

【追悼特別連載】(上)子どもの期待とズレていても、一生懸命に考えて、できることをすることの大切さ

『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)などの絵本の著者として知られるかこさとしさんが、2018年5月2日に92歳で逝去されました。

物語絵本、科学、天体、社会関係の知識絵本、紙芝居など多岐にわたり600作以上の作品を残したかこさんは、子どもを「子どもさん」と敬意を込めて呼び、今を生きる子どもたちはもちろん、未来の子どもたちへの思いを胸に、最晩年まで創作活動を続けました。

特に2018年初頭に上梓した『だるまちゃんとかまどんちゃん』『だるまちゃんとはやたちゃん』は東日本大震災と福島原発事故の被災された人々への鎮魂と慰霊の心が、そして『だるまちゃんとキジムナちゃん』は沖縄で苦労する人々への思いが強く込められています。また、3月に上梓した『過去六年間を顧みて』では、自らの父親への思いを吐露し、親としての在り方についても、つづられています。

そんなかこさんへのインタビューを基に、かこさんが“ささやかではありますが”と前置きしながら残してくれた、子どもたちへのメッセージを3回に分けてお届けします。

(上)かこさとし 子を思う親の気持ち、懸命であればいい
(中)災害が多い日本でどう生き、対処すべきかを伝えたい
(下)見分ける力を持ってほしい 僕は子どもの応援団

(※2018年3月15日に実施したインタビューおよび、加古総合研究所提供のインタビューを基にまとめています)

良かれと思ったことは一生懸命やる、よく考えて行動する父親だった

日経DUAL(以下、──) 2018年3月に『過去六年間を顧みて』を出されました。副題「かこさとし 小学校卒業のときの絵日記」にもある通り、この本は、かこさんの小学校卒業時の絵日記に、当時のエピソードを加えてまとめた、絵日記再録なのですよね。

かこさとしさん(以下敬称略) そうですね。小学6年間をつづった文集が、偶然、戦災を免れて残っていたものを、本にしていただきました。

── かこさんが小学校を卒業された1938年は、第二次世界大戦(1939~1945年)直前で、戦時色が強くなっていたころですね。そのなかでも子どもらしい生き生きした思い出がつづられています。文集の最後にかこさんが描いた絵や、コンクールなどでの賞状、メダルの写真がたくさん掲載されているのも印象的でした。

かこ 「あとがき」にも書きましたが、これは僕の知らない間に、父がきちんと、全部写真として整理し、残してくれていたものです。

── お父様は、どんな方だったのでしょう。

かこ 私の父は、三重県島ヶ原村の農家の次男坊でした。明治25(1892)年生まれで、そのころは山奥の農家の次男坊が学校に行くこと自体、珍しかったのですが、父は小学校卒業後に津の工業学校に進みました。

 工業学校卒業後に陸軍造兵廠火薬製造所に勤め、その後福井に新しくできた大同肥料に職を得ました。工業学校卒というのは、無学な類だと思うのですが、自分の経験をもとに、良かれと思ったことは一生懸命やる、よく考えて行動する人間だったと思います。例えば、苦しい生活のなかでも次男の僕でも村で唯一の幼稚園に通わせたり。

 いろんなところでお話ししてきていますが、父は子どもの期待というか、希望とズレたとんちんかんなことをしてしまうことも多かったんです。店先で、玩具などの仕組みが知りたくて眺めていたら、僕が「欲しい」などと言わないのに無理して買ってくれたり。それは父なりに、一生懸命、周りの人のプラスになるようにと考えて、そうしてくれていたんですけれどもね。

2018年3月15日、ご自宅にて
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